「記憶にありません」に2種あり
一つは、言うまでもなく国会中継で昨日も今日も繰り返された常套句。その参考人に果たして記憶があるかないかは証明しようがないので、このセリフが出ると追及する側もそれ以上は追及できない(隠し撮りした画像や音声が暴露されたりすると面白いのだが幸か不幸か、まだ日本の監視社会もそこまでは進んでいない)。
少し退屈になってウトウトしたら、自分が参考人招致されている夢をみた。
議員「そこで参考人にお尋ねしますが、昨日の晩は何を食べましたか?」
ワシ「え~っと……記憶にありません」
議員「記憶にないはずはないでしょう。何日も前の話じゃないんだ」
ワシ「でも本当に覚えてないんです」
議員「これは非常に重要な点です。委員長、証人喚問をさせて下さい」
議員「で、あなたは昨日の晩飯をどうしても思い出せない、と」
ワシ「は、はい………そ、そんなこと、し、知らねえ!」(映画「砂の器」で犯人の老父を演じた名優・加藤嘉の口調)
議員「和食・洋食・中華と分けて考えてみても思い出せませんか?」
ワシ「確か中華……最近ではレバニラ炒め=写真=を食ったが、それは先週だったかもしれない。マーボー豆腐がその前だったか後だったか、そこがどうも今となっては」
議員「中華料理が好きなんですね。委員長、質問を終わります」
ホッとしたところで目が覚めた。「記憶にありません」と言う人間には2種ある。忘れたことにして生き延びる人と、本当に忘れちゃっても生きてる人と。