髷をまだ結えない人、もう結えない人

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相撲ファンがこんなことを言ってはいけないのだろうが、角界は時代錯誤に満ち満ちた格差社会である。昔の軍隊に似たところがあって、学歴などにあまり支配されない実力本位の世界という意味では軍隊よりもはるかにシビアだと言える。

序の口→序二段→三段目→幕下 → 十両→幕内という段階を経るのが普通だが、幕下と十両以上(関取)との間に厚い壁がある。その壁は刑務所の塀みたいなもので、内側と外側では地獄と天国の差がある。

髷=写真=を、いわゆる「大イチョウ」に結えるのは関取に限られる。幕下以下は、給料ももらえないし個室も与えられない。食事だけは朝・昼・晩と嫌になるほど与えられるが(買い物や料理をするのも自分)一年中、合宿生活をしているのと同じだからプライバシーもへったくれもない。今どきの若者がよく我慢できるもんだと思う(すぐやめる者も多いらしいが)。

いったん関取になったからといって、負け越しが続けばすぐ〝地獄〟に逆戻り。後援会から贈られた豪華な化粧回しを一場所しか締められずに終わる者もいる。塀の内と外を行ったり来たりする〝犯罪常習者〟みたいな力士も出てくるわけだ。

幕内上位まで行きながら、大怪我をして1年かそこいらで序二段、序の口まで落ちてしまう不運なケースもある。安美錦のように39歳で史上最高齢の再入幕なんていう祝うべき例もあるにはあるが、40歳の序の口などを見ると「この人の老後は一体、どうなるのか?」と心配になる。(ワシは他人様の心配をしてる場合じゃないんだが)

数年前の遠藤や逸ノ城のように出世が早すぎて「まだ髷を結えない人」がいる一方、額が後退して「もう結えない人」もいる。いやあ、相撲ってホントに厳しいもんですね。