映画「舟を編む」をタダで見る

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映画というものは映画館へ行って、お金を払って見るものである。当たり前のことではないか。この原則を踏み外すと、映画に関わった人々の諸権利が脅かされ、ひいては文化というもの全体の衰退につながりかねない。

と、治五郎は考える者である。著作権を無視した〝海賊版〟の横行には常々、心を痛めている。日本では著作権に対する理解が進んできたが、地球規模ではまだまだだ。海賊版、許すまじ! という正義の炎が、ワシの胸中ではメラメラと燃え盛っている。

ところがね、ユーチューブというのがあるでしょう。3~4年前の映画を300円払えば合法的に見られるようだが、無料でも全編を見られると知ったら300円を払う人はいるでしょうか? いません。

(おう、タダで見たともよ。悪かったな)

三浦しをん(の作品)に惚れたという話は9月だかに書いたが、闘病中の妹が「映画化されたもの=写真=も良かった」と言うもんだから、つい「非合法」な手段で見た。1冊の国語辞書が出来るまでを目で見ることができて、地味ながら出来のいい映画だ。

んーっと、この老俳優は誰だっけ。ほら、あの「砂の器」のピアニスト・・・あ、加藤剛だ。(思い出すまで所要5分)

んーっと、こいつはドラマ「深夜食堂」でいい味を出してたな。こ・・・こば・・・そうそう小林薫だ。(ここまで10分)

えーっと、この女優は確か日活ロマンポルノでデビューしたんだよ。い・・・いさ・・・伊佐山ひろ子だったか。(ここまで30分)

思い出すまでが大変で、2時間13分の映画はアッという間に終わった。主演の松田龍平オダギリジョー、宮﨑あおいについては、ほとんど何も知らないし思い入れもないけれど、それぞれの持ち味が出ていたと思う。(中国語の字幕が邪魔と言えば邪魔だが、コトバの勉強になると思えば苦しゅうない)

映画をタダで見ることへの罪悪感があるので、手で目を覆いながら指の隙間から覗くような気持ちで鑑賞した。いつ削除の憂き目に遭うか分からないから、その前に見とかんとあきまへんで旦那。(こういう場合に、どうしてワシは大阪弁になるんだろう)