「やぎさんゆうびん」メール版

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〽しろやぎさんから おてがみ ついた

 くろやぎさんたら よまずに たべた

 しかたがないので おてがみ かいた

 さっきの てがみの ごようじ なあに

 

まどみちお作詞の童謡「やぎさんゆうびん」である。治五郎にとって、この白ヤギ=写真=と黒ヤギの手紙のやりとりは「他人事」ではない。酔って話したり聞いたりしたことの内容を忘れ、後で問い合わせなければならないケースが時々あるからだ。

(モンゴルの草原で、ワシが酒の肴に海苔を食っていたら、遊牧民に見とがめられたのを思い出す。「あんた、そんな黒い紙を食って平気か? ヤギじゃあるまいし」)

先月のサンド会で版画家のO野さんが、「モンゴル人にも翻訳で読んでほしい日本の短編がある」と語っていたというのだが、ワシには聞いた記憶がない。仕方がないので携帯メール(SMS)で問い合わせた。「その小説って何でしたか?」

それは芥川龍之介の「白」だという。さっそく読んだら、泣けた。「杜子春」を思わせる童話というか寓話なのだが、大抵のモンゴル人は猫が嫌いで犬が好きだという事情もあるから、主人公の白犬は強い共感を呼ぶに違いない。翻訳の必要がある。

黒ヤギさん、いやO野さん、ありがとう! と言っても彼はアナロギスト(パソコンに無縁な自分を悔いていない確信犯的アナログ人間)で、ブログ読者ではない。

このO野さんこと大野隆司画伯(66)のように、ネットの便利さを承知しつつも自らは決して受容しない頑固一徹のアナロギストが、ワシの周辺では異様に多い。もちろん、治五郎日記の存在など知る由もない。

やむを得まい。やむを得なければ、すなわち仕方がない。