「世界の終わりの翌朝に」

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と題された、加藤龍勇画伯(54、通称カトちゃん)の近作である。縁あって、数日前から治五郎の陋屋に飾られている。どこがそう気に入ったのか、とお尋ねか(誰もお尋ねではない)。女の左肩に乗っている白猫(みたいなもの)だろうって? ブー。

この女の「目」だ。どちらかと言えば、右目よりも左目がいい。いっそ、伊達政宗みたいに右目を何かで覆った方が凄みが出ると思うが、そこまでは求めない。

この左目のどこがいいかと言うと、何も見ていないこと。虚空を見ているとか虚無を見つめているとか、分かった風な口を利いちゃいけないよ。「無い物」を見ている(すなわち何も見ていない)のだ。目は単なる視覚器官ではないということの証左。

そこに気づいたら、改めて白猫(みたいなもの)に目を戻そう。何か、さっきまで見えていなかったものが見えてくるような気がしませんか? (なに、全く何も見えてこない? だめだこりゃ。あなたとは今宵限り、お別れするかもしれません)