高所恐怖症や閉所恐怖症の人は読まないように

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その気(ケ)は少々あるものの「恐怖症」というほどのものではないだろう。と、長らく高を括っていたのだが・・・。

グアテマラへ初めて行って、マヤ文明の遺跡「ティカル」=写真=を訪ねた時のことだ。小さめのピラミッドみたいな「神殿」が何基もあって、当時は自由に登れた。

一番高いもので50メートル前後だろうか。高層ビルで言えば16~17階ぐらいの高さ。平気で登る観光客が多いので、(よせばいいのに)つられるようにして登ってみた。石を積み重ねた階段は、幅が狭くて傾斜がかなり急だ。

行きはよいよい、帰りは怖い。頂上に立って下を見たら足が竦んだ。だめだこりゃ。立った状態で歩いて下りることなど、出来るわけがない。先祖代々、鳶(とび)職の家系に生まれ育ったという人でもなければ無理だろう。

腰を下ろして1段1段、ずり落ちるようにして地表復帰を目指したが、それだと却って恐ろしいので途中から、石段に張り付くようにして後ろ向きに下りていった。

観光客は西洋人が大半のようだ。治五郎と同じ格好で下りるお婆ちゃんもいたが、大半は「お先に~」とか何とか声を掛けながら、立ったままスタスタと下りていく。(彼らは鳶の集団だったのだろうか)

 

その後、1~2年に1回ぐらいだが、高い所に登って下りられなくなった夢を見る。よく、高い木に登って下りられなくなる愚かな猫がいるようだが、ワシの前世はそれだったのかも知れん。

5年に1度ぐらいとなれば、もっと怖い夢を見ることもある。あれは閉所と言えばいいのだろうか、〝広所〟と言えばいいのだろうか。真っ暗である。

床から天井まで35センチぐらいか。匍匐前進する以外に体を移動する方法がない。なんとかして周囲360度を見渡すと、その空間が四方に何キロも続いているらしく、地平線(?)が一条の細い白線になって見えている。這って行くと何日かかるんだろう。

あれは何かの刑罰だったのだろうか。目が覚めた時、あの夢ほど「助かった!」と思える瞬間はない。

・・・結構、怖い話でしょう? (だから読むなと言ったのに)