老いるということ
©加藤龍勇
好きだなあ、こういう絵。どこか(例えば都電の三ノ輪橋駅あたり)で実際に見かけた二人連れなのだろうか、それとも作者の心象風景なのだろうか。
特に右の人物の背中と、左の人物の脚がいい。左の人は車に注意しているらしいが、右の人には何も見えていない。端倪すべからざるデッサン力だ。(と治五郎は思う)
中島みゆきが1980年代前半に歌った「傾斜」の詞と曲が耳に蘇えるようだ。
〽悲しい記憶の数ばかり
飽和の量より増えたなら
忘れるよりほかないじゃありませんか
中島みゆきといえば「アザミ譲のララバイ」でデビューした当時、1歳下のワシが最も注目したシンガーソングライターだが、人気が出るにつれて熱が冷める性分なのでコンサートなどに行ったことはないし、取材で会おうと思えば会えたのだが敬して遠ざけてきた。NHKの朝ドラの主題歌を歌うようになると、もう興味ナッシングだ。
1歳違いなんだから、ワシがジジイなら彼女だってババアのはずなんだが、世論は納得しないだろう。少し不公平ではないか? と治五郎は憤懣やるかたないのである。