「ローソンストア100」に対する複雑な感情
「ローソン」という社名を聞くと、治五郎の脳内で点滅する2文字があった。
「労損」
苦労の労に損失の損である。なんという命名の仕方だろう。まるで「骨折り損のくたびれもうけ」を圧縮したような熟語ではないか。(熟してないから熟語とは言わない)
<1939年、米国オハイオ州にJ・J・ローソン氏が牛乳販売店を営んでいました。このお店は「ローソンさんの牛乳屋さん」として新鮮でおいしい牛乳が地域の評判を呼び、毎朝たくさんのお客様が牛乳を買いにやって来るようになりました。>
昔話のような語り口でローソンの歴史を紹介しているのは、同社のホームページ。あ、Lawsonという名の人物に由来するのね。(冷静に考えれば当たり前だ)
都内あちこちにある「ローソンストア100」=写真左=はコンビニ・スーパー・100円均一ショップを兼ねたような商業施設だが、貧しい庶民にとっては貴重な存在だ。
ワシが愛してやまず、ために体重が増えて困っている「大きなツインシュー(ホイップ&カスタード)」=写真右=も、各種インスタントラーメンも生うどん(3食入り)も一律100円(税込108円)。多機能の鋏や電卓、調理用タイマーなども同額だ。
「安物買いの銭失い」というから長持ちする品ではあるまいと思ったが、いまだに後悔させられた経験はない。どういう流通ルートを開拓したのか、よくは知らないけれども商品の質に全く問題はない。(あとは不祥事を起こさないように祈るのみ)
ただ、しかし。
こういう便利な店が繁盛する一方で、個人経営の商店は激減し続けている。魚屋も八百屋も酒屋も、今では珍しくなった。店先での立ち話を1日の楽しみにしていたオバサンたちは、レジでの長話は禁物だから顔色が良くないように見える。
町内に2~3軒あった「牛乳屋さん」なんか一体、どこへ行ってしまったのだ? オハイオ州のJ・J・ローソン氏は、さぞかし草葉の陰で泣いておろう。
などとブツクサ言いながら、治五郎は今宵もサンダルを突っかけてローソンストア100に向かうのでありました。