「笑点」をめぐるアンビバレンス

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【アンビバレンス】〔ambivalence〕 同一の対象に対して作用する全く相反する感情の併存と、両者の間の激しい揺れ。例、父親に対する愛と憎しみなど。

 この番組が半世紀を超す人気番組になっている理由を、治五郎なりに考察してみた。

まず、歴代の出演者(座布団運び以外は落語家)のキャラが立っている。ある人は、弁が立つが腹黒い性格で友達がいない。ある人は女風呂が好きで、放置自転車や自販機の下を狙う癖がある。また一人は頭の中が空っぽで、まずい味で有名なラーメンを売っている。司会者はといえば、還暦近いのに未婚でお城マニアだ。

彼らがそれをネタに互いをいじり合うもんだから、後楽園ホールでの収録(無料)を見に行った善男善女(大半は若くない)は素直に笑い、喜んでいる。視聴者たるワシは若くもないし素直(?)だから、大相撲の中継がある時を除けば見る。面白いと思う。日本人は、おしなべて「約束事」が好きなのだ。

しかしワシは経歴が少しアレなので、後楽園ホールのお客さんほど素直にはなれない。人気番組には必ず「裏」がある、と疑ってかかる性癖を培われてきたのだ。

大喜利で爆笑を誘う名答・珍答の陰には、誰か〝作者〟がいるのではないか? こう言えば必ず受けるというストーリーがありはしないか? そうだとすれば、ワシが憎むところのNHK「のど自慢」に匹敵する「予定調和」と同罪の世界だ。

「とんでもない! 違いますよ」と言ってくるなら、証拠を添えて言ってきたまえ、日テレの担当スタッフ諸君。(何を急に偉そうに)