避けられぬもの 「再発」と「風化」

f:id:yanakaan:20171227163054j:plain f:id:yanakaan:20171227202400j:plain©赤塚不二夫

 

【再発】治まっていた病気や二度と起きてほしくない事件・事故などが、また起こること。

何か大きな事件・事故が起きると、謝罪会見に出てきた社長や責任者が、判で押したように言いますね。「二度と同じ過ちが起きぬよう」とか「再発防止に全力を」とか。

そう言うしかないという立場は察して余りあるが、これは「いつかは同じことが必ず起きるでしょう」と言っているに等しい。どんなに気をつけても、間違いを犯してしまう唯一の動物、それが人間というものなんだから。

「二度あることは三度ある」と、ことわざに言う。再発が防止された実例を、アナタは一つでも知ってますか? 「再発防止」の類を治五郎は〝建前語〟と呼んでいる。

【風化】空気中にさらされた岩石が次第にくずれて変質する現象。〔新鮮な記憶・印象が、年月を経て薄れる意にも用いられる。例、「戦争体験の-」〕

「風化させてはならない」も建前語である。ヒロシマナガサキ、オキナワの体験を風化させてはならない! とはワシだって思う。(今でもアメリカを許せん)

 しかし、ことわざに「喉元過ぎれば熱さ忘れる」と言う。悲惨な記憶も必ず風化する。

「昔なあ、応仁の乱=絵左=いうのんがありましてん。京の都が焼け野原になりましたんどすえ。あないなこと二度と許せまへん。風化させたら、あきまへんで」

応仁の乱は風化しました。太平洋戦争の体験が200年も300年も風化しないはずがないではありませんか。(その間に人類が滅びるとワシは思うが)

ことわざという、民衆の知恵と歴史に裏打ちされた〝本音語〟の前で建前語は、あまりに無力である。しかし、バカボンのパパ=絵右=ではないが「それでいいのだ!」