消えた1000円の謎が、キミには解けるか?

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 昔ながらの旅館に三人で泊まったとしよう。朝、楠根(くすね)という新米の女中さんが来て「お代は3万円ポッキリでございます」と言うので、一人1万円ずつ出した。

帳場では、主人が「常連さんだからサービスで5000円まけよう。楠根さん、これ返してきて」と1000円札=写真=5枚を渡した。ここで楠根さんに魔が差す。

2枚クスネて、客には3枚だけ返したのだ。客は1000円ずつ受け取って上機嫌だ。むろん何のトラブルも起きなかった。

さて、問題。一人当たり9000円だから、支払った額は9000✖3=2万7000円。楠根さんがクスネたのが2000円。合わせて2万9000円 だ。残りの1000円はどこへ?

「あれ? 確かに変だな」と一瞬でも思う人は、いつか必ず詐欺に遭うだろう。

これは、内田百閒「特別阿房列車」に出てくる有名な挿話を治五郎が多少、現代風にアレンジしたものだ。「Yahoo!知恵袋」のベストアンサーなどを読めば疑問は氷解するのだけれども、1年も経てばまた分からなくなってくる。老いの醍醐味である。