仲よき事は美しき哉。されど

f:id:yanakaan:20180427200214j:plain ②f:id:yanakaan:20180427200323j:plain ③f:id:yanakaan:20180427200421j:plain

それは武者小路実篤先生の画文=写真①=の言う通りなんだが、治五郎は実社会というものが「美化・様式化されたものとは違って、複雑で、虚偽と欺瞞に満ちている」と教えられているから、南北首脳会談=写真②=の中継を見ても簡単には納得しない。

朝から晩まで、その映像を見せつけられると正直言ってウンザリする。「昨日の敵は今日の友」と言うが「昨日の友は今日の敵」とも言うし、かつては「きのうの敵は今日も敵」というTVドラマ(TBS)だってあった。

国と国との関係に限らずスポーツ界も同様で、試合の敵・味方なら問題ないが大相撲、レスリング、サッカーなど競技団体内部の暗闘が絶えない。

「寝耳に水」で解雇されて怒り心頭のハリルホジッチ監督(65)=写真③=が来日、記者会見するというので〝恨み節〟をじっくり拝聴しようと楽しみにしていたのだが、板門店からの中継が長すぎるもんだから、ほんの一部しか聞けなかった。

彼の言い分は、要約すれば「誰も私をリスペクト(敬意を表明)してくれなかった。私のやり方に不満があったら、なぜ、その場で直接に言わないのか。ドン!」ということのようだ。

あっ、そういうことを言うから、日本じゃリスペクトされないんだよ、ハリル。

 彼のことが治五郎は嫌いじゃないんだが、日本に3年いても日本語に興味がないくらいだから、日本人の精神文化の基層にあるものが分かっていないと思う。

まず、日本人は大事なことを口に出して言わない。「言わぬが花」であり「以心伝心」なのだ。「〽 俺の目を見ろ なんにも言うな」「男は黙ってサッポロビール」の世界とでも言えば分かりやすい(たとえが古すぎて分かりにくいか)。

確かにハーフタイムにロッカールームで「ホンダ・・・」と、黙ったままジーッと目を見つめられたら、本田だって困惑するだろう。何か誤解をしないとも限らない。 

ひとことで言うと、日本における監督と選手の間に横たわるコミュニケーションの問題は、コトバ以上に「魚心」と「水心」の関係に集約されるのではないだろうか。

【魚心】「-有れば水心〔=対人関係で、一方の意向次第で、他方もそれに応じようとすること〕」

 ハリル監督、さよなら。ワシは結構、采配ぶりを評価していた方なんだよ~。