グアテマラ人と蒙古斑

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 <【サンパウロ時事】中米グアテマラの首都グアテマラ市の南西約40キロに位置する活火山フエゴ山で3日発生した噴火で、政府当局は6日、死者が少なくとも99人に達したことを明らかにした。現地からの報道によると、なお200人近くが行方不明で、犠牲者数はさらに増える可能性が高い。

 被災現場では引き続き火砕流にのみ込まれた住民の捜索が続いているが、火山活動が収まっておらず、救出作業は難航している。>

治五郎がグアテマラの被災者のことを心配する理由は、たかだか7~8日間のこととは言え、そこが数多くはない「曾遊(そうゆう)の地」の一つだからに他ならない。

【曽遊の地】〔「遊」は旅行の意〕以前に一度行ったことがあること。「-の地」

アティトラン湖という、夢の中のように美しい湖=写真=の畔にある町で取材した。何を取材するという当てはない。滞在中に、カメラマンと二人で取材目的を探すという行き当たりばったり、綱渡りみたいな旅なのである。(こういう仕事は、お陰様でずいぶんやらせてもらった)

国民の大半はインディヘナ(旧称インディアンは差別的だとされる)。日本人と共通点のある顔つきだが、目を見ると概して(ク、暗い・・・)と感じさせられた。

いま思えば、スペインによって散々な目に遭ったグアテマラは独立後も米国などにいろんなチョッカイを出され、20世紀後半のほとんどを内戦下で過ごした。

ワシが行ったのはその末期だから、表情が暗かったのも当然だろう。この国の治安は現在でも世界の159番目だそうで、無事に日本へ帰れたのは不思議なくらいだ。

アフリカ発祥の人類が、北東アジアからベーリング海峡を越えて米大陸に渡ったとされるのが約1万年前。彼らは何千年もかけて太平洋沿いにチリまで南下した。

アティトラン湖畔の町で訪ねた小屋みたいな家で、生後間もない赤ん坊(ワシの子ではない)の尻にクッキリとした蒙古斑を認めた時は、一種の感動を覚えたものだ。

蒙古斑黄色人種の子供の尻などに見られる、青黒いあざ。七、八歳までとれない。児斑。

フエゴ火山の噴火による死者数が増え続けていることにワシが無関心でいられない理由が、これで分かってもらえるのではないかと思う。