いつも断片的ですが、モンゴル語の豆知識

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 そう嫌な顔しないでよ。読者には全く何の役にも立たないことは承知しているが、これも縁(というか悪縁)のうちだと諦めて読み流してほしい。

【悪縁】㊀〔仏教で〕悪い結果をもたらす外的条件。㊁(かつて愛し合った)男女の間柄。

へえ、㊁は知らなかったな。

ドイツ語に男性名詞・女性名詞・中性名詞があることは、よく知られている。あれが面倒だから大学でドイツ語を選択しなかった、という人を何人か知っている。

モンゴル語の場合、名詞に性別はないが「母音(ぼいん)」に「♂」と「♀」と「どっちでも」の3種類がある。

難しい理屈は省く(実は知らない)が、ごく大雑把に言うと「アとオは♂、ウとエは♀、イはどっちでも可」である(というのが、治五郎の浅い認識)。

一つの単語の中に、♂母音と♀母音が混じることはありえない(どっちでも可のイが混じるのは、問題ナッシング)。これを「母音調和」という(ようだ)。

現代日本語の母音はア・イ・ウ・エ・オの5種だが、昔はもっと多かった。ヲ(を)やヰ(ゐ)やヱ(ゑ)が、その名残である。

日本人には「お」としか聞こえないモンゴルの「オ」には3種類あって、ワシには何年たっても区別できない。それはさておき・・・(逃げたな)。

モンゴル人の耳が「変だな」と感じる言葉と、そうは感じない言葉があるはずだ。

「感じない」(kanjinai)に登場する母音はア・イ・ア・イだから、OK。「変だな」(hendana)は「E・A・A」だから違和感あり。

ここまで一応、理解しましたか? (案外、モンゴル人が首をひねってる)

では簡単な応用問題。次の固有名詞のうち、モンゴル人が耳で聞いてピンと来ないのは何番と何番と何番でしょう。

 ①安倍 ②田中 ③福島 ④井野 ⑤鳴海 ⑥青森 ⑦徳川 ⑧永井

もう分かりますね? 母音調和がとれているのは偶数、とれていないのは奇数の固有名詞だ。

母音調和を重んじる国民性に、ワシは「混ぜご飯」=写真=のイメージを重ね合わせることがある。好き嫌いのない〝雑食系〟のワシではあるが、「これとこれを一緒にすべきではない!」と感じることがある。

モンゴルの母音調和に抵抗がないのは、そこに理由があるのかもしれない。( だから、どうしたというのだ)