山の神様がお怒りでなければいいんじゃが

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群馬県の防災ヘリが同県中之条町の山中で墜落して、乗っていた9人全員の死亡が確認された。長野との県境で11日に開通する予定だった登山道「ぐんま県境稜線トレイル」の視察に向かっていたという。開通は予定通りだが、記念イベントは中止された。

いつの間にか「山の日」という休日が出来ていたが、「建国記念日」とか「昭和の日」(元の天皇誕生日)とか、最近では「海の日」なども、どこかに〝皇国史観〟や〝大日本帝国〟の影が感じられたからだろう、反対する野党もいて国会が紛糾したものだ。

しかし「これ以上、休日が増えては困る」という国民は(いるにしても)少数で、お盆前後の連休を増やすことに反対する政党にメリットは何もない。

「山の日」について、最初は「8月12日」案があったが、その日は1985年にあの「御巣鷹山」でJAL機が落ちた日で、地元群馬の議員らから「その日を国民の祝日にするのは、いくら何でもアレではないか」と疑義が出され、国会も「確かに少しナニかも」ということになって、11日に落ち着いたという経緯があるらしい。

アレとナニで祝日が決まり登山道が開通する様子を、山の神=写真は、往年の特撮映画で山の神の化身とされた「大魔神」=は黙って見ているしかない。

 

民俗学的な考察(というほどではないが)によれば、山の神というものは古来「観光開発」を嫌っていた節がある。信仰心もないのに誰彼が踏み入るべきではないのだ。

今回の事故では、急激な天候悪化などもあったらしく「一天にわかにかき曇り」というイメージがある。悪い領主や代官の横暴に怒りを爆発させた大魔神が、暴れだす時の空模様を思い出さない人が一人でもいるだろうか(いや、一人もいない=反語法)。

そこで、山の麓で暮らす上州・信州の貧しい善良な村人らの声が聞こえてくるような気がするのは、治五郎だけだろうか。(たぶん治五郎だけです)

「山の上にトイレだかトレイルだとかいうもんを作るっつう話だんべ」(上州)

「きっと、山の神様がお怒りになっているずら」(信州)

ワシは迷信にとらわれたりジンクスを気にしたりするタイプでは、ま~ったくないので、事故原因の究明は科学的な調査に委ねたい。ただ、少年時代に愛した大魔神の恐ろしい形相を一瞬、懐かしく思い出したもんだから、ひとこと申しました。