「日本人にとって森鷗外とは?」という超難問

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 う~ん、難しいぞこれは。名前や幾つかの代表作だけは誰でも知っている(試験に出るからね)。

何十年か前は、夏目漱石と双璧を成す「文豪」だった。未知の国・英吉利を漱石が、独逸を鷗外が日本に紹介したと言えるだろう。西洋文化との出合いである。

今の大学生(近代文学専攻は除く)に「何を読んだか」と聞いてみよう。「え~舞姫、雁、山椒大夫、うーん・・・高瀬舟

この学生は相当な読書家である(と言わなければならない)。「渋江抽斎」や「伊沢蘭軒」は確かに読むのに少し骨が折れるが、そんな小説の名は聞いたこともないと断言する彼らを責めるわけにはいかない。

 「森林太郎」という本名にこだわった鷗外の墓は、三鷹の「禅林寺」という寺にある。すぐ傍には、三鷹で心中を遂げた太宰治の墓もある。境内で半日ぐらい、参拝者や観光客の様子を〝モニタリング〟してみなさい(暇な人だな)。

【モニタリング】自然環境や市場の状況などを継続的に観察・監視すること。

太宰の墓に詣でる人が10人いるとすれば、鷗外が目的の人は3~4人だろうか。治五郎が高校生の頃は「あまり読まない方がいい」と言われた太宰が、切手=上=にもなった鷗外に代わって今は「文豪」の名をほしいままにしている。

いずれは村上春樹に取って代わられるのだろうか。諸行無常、色即是空