「通院」と「珈琲」と「人魚」に関連性はあるか?

f:id:yanakaan:20180919151211j:plain f:id:yanakaan:20180919152047j:plain©水島爾保布

 ありませんよ、そんなもん。しかし「上の三つを関連づけて論述せよ」という、筆記問題が就職試験に出たらキミはどうする? (出ないと思うよ)

 昔は、入社試験でそんな三題噺を要求するマスコミ(出版社)があって、若き治五郎も往生したものだ(本命じゃないから落ちてよかった)が、劫(こう)を経た今となっては朝飯前だ。やってみようか。

【劫】㊀〔仏教で〕きわめて長い時間。「―を経る」

糖尿病のため、かれこれ30年も投薬治療を受けている。完治することが決してない病気ではあるし、あまり長生きしたいとも思わないのだが、深夜に発作が起きると怖いので(起きない、起きない)2~3か月に一度、薬をもらいに通院している。

歩8分のT病院で、普通は朝の9時に血液と尿の検査、10時から診察がある。もちろん時間通りに済んだためしはなく、検査は30分、診察は1時間も待たされる。

病院の向かいに「尾久珈琲亭」という古めかしい喫茶店=写真左=があって、朝から営業しているので毎回、待ち時間に利用するようになった。老夫婦がやっていて、コーヒー1杯600円は安くないし、老マスターがミルクの納入業者と電話で喧嘩したりするのは少しアレだが、それを除けば読書に向いた環境と言える。

昨日は、先日のサンド会で恵贈を賜ったアンソロジー人魚」(皓星社)を読んだ=挿絵右は、谷崎潤一郎「人魚の嘆き」より=。小川未明アンデルセン太宰治らの作品は読んだ覚えがあるが、〝性風俗研究家〟だという認識しかなかった高橋鐵(1907~71)の古き良き探偵小説「怪船『人魚号』」に出合えたのは、大きな収穫。長井那智子さんの解説も、なかなか含蓄に富む内容だ。

通院と珈琲と人魚、なんとか関連づけられたかな?