もはや怒る気力もない
都心に出来る新しい駅の名前が、相次いで「高輪ゲートウェイ」(JR)や「虎ノ門ヒルズ」(東京メトロ)に決まったというので物議をかもしている。
公募で36票だかを獲得したという「高輪ゲートウェイ」について、落語家の立川志らく(55)=写真①=が「そんな名前を思い付く人が、36人も存在するわけがないだろう。関係者のヤラセに決まってる!」と激怒しているようだが、治五郎も同感だ。
この師匠は最近、テレビのバラエティー番組に引っ張りだこで、ちょっとした〝オピニオンリーダー〟ぶりを発揮しつつある。ワシは別に嫌いではないが、本業たる「高座」の方は大丈夫なのだろうか。そこが少し気にかかる。
この人の師匠は、落語の「天才」と呼ばれた故・立川談志であり、その芸をワシは高く高く評価する者だが、生前に会って取材してみたいと思ったことは一度もない。
カタカナ語の氾濫が商品名や商業施設にとどまっているうちは、ワシも体がブルブル・ワナワナと怒りで震える程度で済んだ。が21世紀に入ると、それが自治体や公共施設の名称までをも席巻するようになった。
南アルプス市(山梨県、2002年)とか、中部国際空港セントレア(愛知県、2005年)とか、あの辺で堪忍袋の緒が切れてからは、もう抗議する気力もない。
そんなに日本語・漢字が嫌いで英語・カタカナが好きなら、いっそ地名の高輪を「ハイリング」、虎ノ門=写真②=は「タイガーゲート」に替えたらどうだ。ワシゃもう、何を聞いても驚かんよ。