治五郎親方と「バーサン事件」

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もう、あまりコメントしたくないんだよ、モンゴル人力士の不祥事については。

前頭六枚目の貴ノ岩(28歳、千賀ノ浦部屋)=写真=が、三段目の付け人を殴ったというので引退に追い込まれた。

一年前は横綱日馬富士に殴られて怪我を負い、横綱が引退する原因となった被害者が一転して加害者となったわけだが、前回に比べると事件発生→発覚→謝罪・引退会見の流れがあまりにも早く、一週間も経っていないのに今は来年二月中旬に断髪式の予定という話題になっている。

貴ノ岩の本名はアディヤ・バーサンドルジ。モンゴル人には「姓」がないので、アディヤという亡父の名を代用している。バーサンドルジの愛称は、婆さんならぬバスカ。

長い名前の略し方にも、モンゴルでは何種類かのパターン(一定のルール)があるようだ。ワシがむかし世話になった通訳はバンズラクチスレンという名で、通称はバンザイ。遠くにいるのを呼ぶたびに、万歳三唱を叫んでいるような気がしたものだ。

バーサンドルジが損をしていると思われるのは、なんというか、持って生まれた顔が「ふてぶてしい」印象を与えがちな点だ。白髪のカツラでも付ければ、お笑い番組のコントなどで「いじわる婆さん」役が似合うのではないだろうか。

コンプライアンス法令遵守)なるものが最優先される現代社会に異を唱えてはいけないことになっているが、今の親方衆で付け人を殴ったことがない人、付け人時代に殴られた経験のない人が一人でもいるだろうか。

何十年も前の暴力事件をマスコミがいちいち暴き出していたら、日本相撲協会の役員に残れる人はいなくなる。テンプラの揚げ方よりも、コンプラの徹底は難しい。