外国人と一緒に時代劇を見ると疲れます

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新作のテレビドラマなら問題はないのだ。登場人物が全員、和服を着て(男は)ちょんまげを結って刀を差している以外、言葉も感覚も現代と大差ない。

厄介なのは、一応ちゃんとした時代考証に基づいて作られた数十年前の映画。「オールキャスト」などと呼ばれて、時々の一流スターが何十人も出演している。何十回も映画化された「忠臣蔵」=写真=の粗筋などは、日本人なら大体は承知している。

ところが、ここに中年のモンゴル女性Aがいるとしよう。日本での暮らしが長くなって日常生活には全く支障がないのだが、忠臣蔵に詳しいというわけにはいかない。

そんな映画を(テレビで)一緒に見ていると、「これは分かんねえだろうなあ」という言葉が頻出する。たとえばジョウダイガロウね。

じょうだい【城代】㊀主君に代わって城を守った武士。㊁江戸時代、国持ち大名の留守中、一切の政務をつかさどった家老。城代家老

大石内蔵助の立場を知るには欠かせないキーワードだが、その意味を問われれば「参勤交代」に触れざるを得ず、いちいち説明していると、あっという間に「松の廊下」どころか「討ち入り」のシーンになってしまうだろう。

「そこもとって?」「あなた」「それがしって?」「わたくし」

この程度なら鑑賞中に即答できるんだが、歴史用語をひとことで説明できないもどかしさによって、己の不勉強を思い知らされる。いやあ、これは疲れますよ。