酒と泪と雄と雌

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「雌雄(しゆう)を決する」とか「雌雄を争う」とか言う。

【雌雄】㊀〔動物の〕めすと おす。「ひなのーを鑑別する/ーを決する〔=優劣を決める〕/ー〔=勝ち負け〕を争う/誰(タレ)か烏(カラス)のーを知らんや〔=互いに似ていて、その区別がなかなか分からないたとえ〕」(以下略)

カラスの件はご愛敬としても、雌雄のオスは優・勝に、メスは劣・敗にそれぞれ対応している。「それって変じゃありませんこと?」と、かつては異を唱えるウーマン・リブ(懐かしいな)の声が強かった。

性差については時代遅れと言われた新解さん新明解国語辞典)は4版以降、譲歩を迫られ続けてきたが、今や現実社会を見れば男女の優勝劣敗は逆転している。

【雄雄しい】普通なら避けたいと思う危険や困難に、勇気をもって立ち向かう様子だ。〔男性の理想的な姿を形容する語〕↔女女しい

【女女しい】難局に身を挺して立ち向かうだけの勇気がなく、危険や困難に出会うとすぐ くじけてしまう様子だ。〔おもに男性について言う〕↔雄雄しい

ほろ酔い気分で新解さんと付き合っていたら、「雌伏」という言葉にも出合った。

【雌伏】〔雌のごとく他に屈従する意〕実力を養いながら活躍の日を待つこと。〔無能力な人が何もせず月日を送ることではない〕↔雄飛

この〔 〕内は何だ? 最近はそういう誤解をする人が多いということなんだろうけれども、辞書が「―ではない」と念を押すかなあ。ま、「雌伏」という言葉が治五郎への当てこすりではないことが分かってホッとしましたけどね。