「ファースト」考

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 「ファースト」の付く言葉が、どうも昔から気に食わない。

レディーファースト、ファーストレディー。近年ではアメリカファースト、都民ファースト、どれも嫌だ。差別というものの病原菌が潜んでいるような気さえする。

何百何千もの国・民族・都市が、互いに争わずに済む「地球ファースト」が当面は正しいのではないかと思うが、それも十全とは言えまい。

地球さえ良ければいいのか? 宇宙=写真=の何万光年か先に、毛虫だらけの星があったとしよう(そこまで想像するか)。地球人から見て不都合な存在だからと言って、その毛虫たちは虫けら同然に扱われていいのか? 

むしけら【虫螻】小さくて、取るに足りない虫。〔くだらない人間の意にも用いられる〕「―同然に扱われる」

何を最も大切にすべきかという話になるが、そうすると地球や人類は(宇宙にとっては迷惑な存在だから)衰えて滅びるべきだという結論になりそうだ。「宇宙ファースト」という考え方もあるだろうが・・・私、もう何だか分からなくなって参りました。

おぼろげな記憶だが、物心がついて「野球」というものを初めて体験した時、球を打てるはずはないから突っ立ってると「フォアボールで出塁」という判定が下った。つい左(三塁)方向に走ろうとしたら、審判か誰かが「そっちじゃない! ファーストだ」と叫んで右方向を指さした。

嘘のような実話だが、治五郎は当時からファーストが苦手だったのではあるまいか。