日本の老人は「ほっぺにチュッ」が出来ない

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いくら断髪式というセレモニーの場とは言え、土俵上で男が男の頬にキスをするなどという行為が許されるものだろうか? 

見たまえ、立行司式守伊之助が(目のやり場に困って)あらぬ方角を向いているではないか。

元・朝青龍(右)と元・日馬富士の共通点は、実力と人気を兼ね備えた横綱でありながら一夜、酔って暴力を振るったため辞めさせられたことにある。

が、それが今回の主要テーマではない。

なぜ、私たち日本人(特に老人)は簡単に「ハグ」や「ほっぺにチュッ」が出来ないのだろうか。国際化が進んで、若年層では抵抗を感じない人も増えているようだが、治五郎(以上)の世代で自然な感じのハグが出来る人は見たことがない。

「アナタは、特に親しいわけでもない人の頬にキスすることが出来ますか?」という国際アンケートを実施したら、興味深い結果が出るのではないだろうか。

欧米は概して「〇」なのに対して、アジアは大半が「✖」のはずだ。モンゴル人が例外的に「〇」なのは、長く続いた社会主義時代に〝目上の同盟国〟だった旧ソ連=ロシアの影響ではないかとワシは睨んでおる。

日本人の「✖」が根強いのには、1000年をはるかに超える伝統がある。第三者の目がある場所で、会った相手に親愛の情を示すのに手を握ったりするのは外道(げどう)である。相手が同性であれ異性であれ、肉体の接触は白昼堂々と行うものではない。

そんなDNAが、この島国にはまだ残っていて、だから上の写真を見て「いいね!」と感じる日本人は滅多にいないのだ。伊之助ではないが「勘弁してよ」の世界。

今月10日から大相撲春場所が始まる。24日の千秋楽に誰が優勝しているかの予想は立てにくいが、またモンゴル勢が優勝したら、表彰式で在日モンゴル大使が土俵上で優勝力士に「チュッ」をすることになるだろう。

治五郎は白鵬鶴竜玉鷲も嫌いではないし、それぞれに頑張ってほしいのだけれど、今場所も千秋楽で「チュッ」を見せられるかと思うと、少し憂鬱になるのです。