6年ぶりに〝出社〟すると

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はい、そりゃもう浦島太郎の世界でございました。

家の前にバス停があって、都営バスの「東43」に乗ると田端→東大正門前→御茶ノ水→東京駅まで乗り換える必要がないので、西尾久在住の老人が大手町の読売新聞社へ出かけるのには便利この上ない。(40分ぐらいかかるが)

大手町で下りてとりあえず、懐かしい隣の大手町ビルに入ったら、さっそく迷った。喫茶店のお姉さんに「トイレはどこ?」「読売に近い出口は?」と尋ねながら、定刻の6時ちょうどに社に着いた。

用件は何かというに(書いておかないと忘れる)、当ブログではおなじみの「気仙沼牡蛎じいさん」こと畠山重篤さんのミニ自伝「時代の証言者」連載が終了したのを祝うため、当人とインタビュアーのU飼らに会うこと。主賓との付き合いが長いM本Yと、途中からは文芸担当のM田も加わって大いに盛り上がった。

 昔、10階建てだった本社ビルが隣のサンケイやKDDビルの〝谷間〟に沈んだ頃、いわゆるナベツネが「今に見ておれ。大手町で一番高いビルにして、最上階から周りを見下ろしてやる」と言っていたのが現実になった。

32階のレストランで皇居などを見下ろしながら、スエヒロのステーキを召し上がっていると(敬語は誤用)懐が心配になり、この場にワシは「そぐわない」と感じる。

【そぐわない】▵いつも(その時)の状態から見て、接する人に違和感を与える様子だ。「▵現状(実態)にー〔適応しない〕」

しかしU飼は平然として「経費で落とせますから」。そうそう、思えばワシもこのように、会社を食い物にしながら30余年を過ごしてきたのだった。

編集局に寄っていけと言われて寄ったけれど、あれはもうワシが知る新聞社じゃありませんね。禁酒禁煙どころではない。あんな整然とした綺麗な職場で原稿が書けるもんだろうか? 還暦で辞めたのは正解だった、と思わずにはいられなかった。

何人もの懐かしい顔に出合った。誰もが「あ~、治五郎(ではなく本名)さんは、めっきり老けたな」「足元がヨロヨロしてるんじゃない?」と思ったろう。

「そ、そんな滅相もない!」と打ち消してもダメです。顔に書いてあるんだ。

しかしキミたちも(毎日会っていると感じまいが)5年たてば5年、10年たてば10年の年輪が風貌に刻まれているのだよ。