治五郎親方の大相撲春場所総評

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「荒れる大阪場所」は、どこへ行ったのだろう。今春はちっとも荒れなかった。

白鵬42回目の優勝は、もはやニュースでも何でもない。他の横綱大関が優勝に絡めなかったのも予想通り。一敗で追走した平幕の逸ノ城が久しぶりに「怪物」ぶりを発揮したが、優勝には届かなかった。白鵬は千秋楽に鶴竜を下した際、右腕に大怪我をしたので、あれが一日早かったら休場となり逸ノ城優勝となったはずで、惜しかった。

関脇の貴景勝がカド番の栃ノ心に圧勝し、大関の座を奪い取ったのがニュースと言えばニュースだが、ワシはこういう「下剋上」が好きで大相撲を見ているわけではない。なるべく世の中から「争いごと」を無くしたい平和主義者なのだ。(それならなぜ相撲を好んで見るのか、と理屈で突っ込まれても困る)

今場所、治五郎の目を引いたのは序二段で優勝した狼雅(ろうが)=写真左=だ。モンゴル出身、二子山部屋所属の20歳。こいつは強くなるぜよ。怪我さえしなきゃ、2年後には三役になっている可能性がある。

似た予想を、NHK解説者・北の富士勝昭さん=写真右=も口にしていたのは心強い。朝青龍の甥・豊昇龍とか、大鵬の孫で貴闘力の息子・納谷とか、20前後の〝サラブレッド〟系が着実に力を伸ばしてきているのも間違いない。(納谷は、ギャンブル好きな父の血を受け継ぎませんように。豊昇龍は、酔っ払って人を殴るなよ)

ただ、北の富士さんは(見た目が若いだけに)もの忘れや勘違いが目立つようになってきたようだ。そのくせ元横綱ならではの辛口批評が健在なので、担当日のアナウンサーは大変なのではないだろうか。

最近は、NHK以外にもネット放送で序の口の取組から見られる。好角家の楽しみが増えた半面、関係者の気苦労も多いのではないかと〝忖度〟する次第である。