糖尿病の大先輩が新5000円札に

f:id:yanakaan:20190409193517j:plain

山田風太郎の奇書「人間臨終図巻」(全3巻)の新装版(全4巻、いずれも徳間文庫)を読み返している折も折、紙幣のデザインが刷新されるというニュースに接した。5000円札の肖像は津田梅子(1864~1929)=写真=だという。「あれ? 津田梅子の項なら、つい10分前に読んだな」(1日前だったら覚えていないだろう)

夕刊に載っているような梅ちゃん先生の略歴は省くとして、山田の風ちゃん(フーちゃんだって)に教えられたのは以下のことだ。

<梅子がひどい疲労や渇きなど身体の不調をおぼえたのは大正六年の春ごろ、五十三歳のときであった。診断の結果、糖尿病と判明した。>

あ、治五郎にとって(持病の)先輩だったのか梅ちゃん先生は。風ちゃん先生の方は、もともと医者(の資格がある人)なので、長生きしたい人がなぜ早世したか、もう死んでもいいと思っている人に限ってなぜ長生きするか、その辺の考察には余人の及ばないものがある。梅ちゃんの末期の様子にも、いろいろ考えさせてもらった。

津田梅子は<六十五歳で死んだ人々>の中の一人。治五郎はもう66歳だから、年齢では梅ちゃん先輩の享年を一つ超えてしまったことになる。オー、なんということだろう!

53歳で病名を知った時、彼女は英文の日記にこう記しているという。

「私の生命は他人のためのものであって、自分のためのものではない。なぜこんな不運に見舞われるのか。なぜもっと長く生きられないのか。しかし、私よりもっと価値のある、数限りない生命が、若い盛りに死んでゆくことにも理由がない。そして、この孤独と寂寥の意を人は問い得ない」

最初の脳溢血が、この2年後だった。(最期も脳溢血)

Oh,my God! ワタクシには、ウメ姐さんより長生きする資格などありませぬ。