ワタクシに最も向かない仕事
はい、それはセールスマンです。(写真は、通販のジャパネット)
「見て聞いて、書くこと」以外の能力は、少年時代から全くゼロだった。もしもジャパネットに入社して「この商品をテレビでPRしてみせなさい」と言われ、それをやったら即刻クビだろう。
立て板に水のごとくシャベクリまくって、人心を惑わし自己の利益を得る。そういう熾烈な世界に身を置いたら、ワシは一日も生きてゆけまい。(わが愛する寅さんの「テキヤ」という社会的存在は、その源流である)
その昔、新聞社に入るのはかなり難しそうだったので、〝滑り止め〟として神田にあった「C書房」という出版社を受験したことがある。中島敦や太宰治や宮沢賢治の全集を出していて、好感を抱いていたのではないかと思う。
面接が終わって帰ろうとしたら、会社の偉い(らしい)人に呼び止められた。
「キミは編集希望らしいが、営業の方が向いているんじゃないかね」
あ、この会社はダメだと思いましたね。人の本質が見抜けていない。
C書房との縁は、そこで終わった。本命の新聞社に受かった2年後、C書房が倒産したというニュースに接して「やっぱりなあ」と思った。ところがC書房は立派に会社を立て直し、今も優れた本を出し続けている。
あの時、C書房の営業部員になっていたら、ワシの人生はどうなっていたんだろうか。(やっぱりダメだったと思います)