小沢昭一の名言をかみしめる

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人は死んだらどこへ行くか? 天に昇るとか土に還るとか、風になって空を吹きわたっているのだとか、諸説あるが・・・。

昔、俳優の小沢昭一(1929~2012)=写真左=にインタビューしていて、そんな話題になったことがある。前にも当ブログに書いたような気がするが、治五郎が覚えていないくらいだから読者は完全に忘れているだろう。彼は、こんなことを言った。

「昇天とか成仏とかいうのは、しょせん人間の頭が考えだしたものだから、どれもシックリこない。死んでから行く先は、その故人をよく知る人の『心の中』じゃないでしょうか。その知人たちが何十年か後に死に絶えたら、そこで初めて世の中から消え去るんだと思います。ま、素人の考えだから当てにゃなりませんがね。ふふふ」

これは、ワシの好きな放浪の歌人・山崎方代(1914~85)=写真右=の<私が死んでしまえばわたくしの心の父はどうなるのだろう>の世界に限りなく近い。

「どうなる」と心配したくなる気持ちも分かるが、自分が死んでこそ相手は本当に消えられるのだという発想は悪くない。

先週の金曜日は敬愛する先輩記者「笠やん」の七回忌と称する宴会があって、ワシは有楽町から銀座まで歩いて往復するのも難儀だったが、まあ行って良かった。

彼が「人の心の中」から消え去るまでは、あと20年も30年も要しそうだ。(ワシゃそんなに要したくないんだぜ、笠やん)