面白いが、見方によっては残酷な倉本ドラマ

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 何週間か前にも話題にしたような気がするが、テレ朝の昼ドラ「やすらぎの刻 ~道」に案の定、治五郎はハマってきた。かつての大物芸能人が入居する高級老人ホーム「やすらぎの郷」を舞台に、心身の衰えを自覚せざるをえない彼らの実感に肉薄している。

若い頃から豪邸に住み続けた大金持ちの行く末に、ワシら貧乏人は何の共感も覚えないはずなのだが、出演者が出演者なので老視聴者は、つい「オッ」となる。

最近、この施設に「桂木夫人」=写真左=というのが入居(登場)して、治五郎は大いに困惑した。(いや知ってるんだよ。何度も見たような顔なんだが、思い出せない)。このドラマは、そんな高齢者の脳を少しでも活性化させるために作られているのだろうか。だったら厚生労働省あたりの後援があってもよさそうだ)

 桂木夫人役は、(若いモンは知るまいが)あの大空眞弓=写真右=だった。OH! ワシゃ別にファンというほどではなかったが、今はこういう容貌になっていたのか!(写真左は、これでも作ってる方)

 脚本を書いている倉本聰(84)は、脚本家役の石坂浩二(78)や大空眞弓(79)とは旧知どころではない「仲」であり、浅丘ルリ子(79)・加賀まりこ(75)・いしだあゆみ(71)など大変な顔ぶれを贅沢に駆使してドラマを作っている(らしい)。

「お互い、年を取っちゃったわねえ」「でも倉本先生に指名されたんだから、しようがないわよ」と、彼女らは観念したのだろう。

それにしても、堂々と顔をさらした大空さんは偉い!

倉本に、弟子筋の元プロデューサー・碓井広義さんとやらが聞き書きした「ドラマへの遺言」(新潮新書)を読んでいたら、こんな一節に出合った。

「僕がいまもって金科玉条にしているのは、チャップリンの<人生はアップで見ると悲劇だけど、ロングで見ると喜劇だ>っていう言葉で、それが一番高級なドラマではないかっていう気がするんですよね。やっぱりそれを書きたいと思いますね」

 治五郎が尊敬する倉本聰は、80代も半ばとなった今、その「一番高級なドラマ」に迫っているのだろう。(べた褒めしてるわけじゃありませんよ)