「常に笑顔」も結構なれど

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現代の若者や子供たちに最も広く支持されている「モットー」とは何か?

もちろん「男らしさ」や「女らしさ」ではなく、ましてや「刻苦勉励」や「義侠心」などでは決してない。なに「七生報國」? キミはいつの時代の少年だ。

今どきは「いつも笑顔」、これであろう。教室に貼ってある標語などで、一番多いのがこれではないだろうか。(写真は沖縄のアンガマ。100年も200年も同じ笑顔だ)

治五郎は、この風潮に対して異を唱える者ではない。しかし、いつも笑顔を見せ続けることが美徳であるという主張には、首を捻らざるを得ない。毎度のことで恐縮だが、また新解さんの知恵を借りるとしよう。

えがお【笑顔】(うれしそうに)笑っている顔。

うれしい【嬉しい】自分の欲求が満足されたと感じて、その状態を積極的に受け入れようとする気持だ。「あの人に会えて嬉しかった / あしたは休みだ、―な / 四月から自分も大学生かと思うと、何となくー気持になる / ーね、君のその一言を待っていたよ / ー悲鳴」

 佳境に入ってきた甲子園の野球中継を見ていると、「笑顔」を義務づけられている学校(チーム)があるようだ。0-15で負けている側が、なんとか1点を返したというのなら分かるのだが、0-16になった時も応援団の大半が、笑顔。ちょっと変だぜ。

巨人の星」の星飛雄馬みたいな「〽 血の汗流せ、涙を拭くな」の世界は、もうどこにもない。暑中の連投を避けて休養日が増えたのも、高野連が「笑顔」を最優先するようになった結果だろう。(それがダメだと言ってるわけじゃないんだよ)

ただ、あのベンチやアルプススタンドの笑顔はあまりにも不自然だ。少なくとも<自分の欲求が満足されたと感じて、その状態を積極的に受け入れようとする気持>ではないだろう。無理に飼い慣らされた動物を連想させられて、痛々しい感じさえする。

「泣きっ面」があってこそ「笑顔」は美しい。ファミリーレストランの従業員が、マニュアル通りに作ってみせる笑顔はニセモノだ。そこの御老人はどう思いますか?