新橋駅前広場の真実

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あなたが今春、某テレビ局に入社した新人記者だとしましょう。「いや、僕は別にマスコミに興味ないし」などと言ってはいけません。あくまで仮の話です。

「おい新人! 天皇陛下の即位に関する街の声を拾って来い。場所? どこでもいいが下赤塚とか西尾久よりは、やはりサラリーマンの街・新橋が無難で妥当だろうな」(どうして新橋なんだ? サラリーマンって、そこにしかいないのか?)=以下、( )内は新人記者のツブヤキ。

「30人に声を掛ければ2、3件は使えるから、あとは別の新人が取材する渋谷の若者や浅草の観光客の話が2~3件ずつあれば足りる」(効率はかなり良くないな)

やむなく彼は新橋駅前のSL広場=写真=へ行った。むろん、カメラや音声も一緒だ。腕章を巻いて取材開始。

最初の一人にはジロリと睨んで無視された。二人目は「すみません、今ちょっと急いでるので」。三人目は「騒ぎすぎだと思うね。警備が大袈裟だし、金がかかり過ぎる。台風の被災地に回してあげればいいのに」(同感だけど、これはボツだろう)

七人目でようやく、テレビに映りたがっているらしくウロウロしているオジサンをつかまえた。「古式ゆかしいというか、皇室の歴史と伝統を感じさせる厳かな儀式に感動しました! 楽しみにしていたパレードが延期になったのは残念ですが」(ホッ)

20人以上に取材したが結局、オンエアされたのはこの中年サラリーマン一人。他には渋谷の女子高生3人組と巣鴨のおばあちゃん、浅草の外国人観光客夫婦の計4件だった。コメントの中身はどれも大同小異だ。

(新聞も同じようなもんだが、諸君! マスコミが伝える「街の声」なるものは、このように編集されるのだ。あ~あ、テレビ局に就職したのは間違いだったかなあ・・・)