初の入院・手術と「人間の尊厳」その他(3)

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 東京JI大病院(分院)の病室=写真=である。自宅から歩いて10分足らずの距離だが、脚の血流が詰まってきて往復が難儀になっていた。先週(今はもう去年)、カテーテル治療で脚はずいぶん楽になって歩きやすいものの、今度は心臓そのものの血流を良くしないと明日はないという話になって、来週(再来週)にも再入院する。

痛みは大した問題ではないのだが点滴を受け続け、トイレに立てないばかりか身動きもできないという病床の不自由さは、二度と経験したくない。未だ経験したことのない不自由さは何かに似ていると思ったら、それは刑務所(独房)だった。

もちろん治五郎の場合、病院で独房=個室に入れるような身分ではないので、6人部屋に導かれた。こういう〝雑居房〟は一応、カーテンで仕切られているから最低限のプライバシーは保たれているのだが、中には長期入院や入退院を繰り返している〝牢名主〟みたいな剛の者もいて、ベテラン看護師ともツーカーの仲。

夕食後も、いわゆるタメグチでにぎやかな会話が交わされる。聞きたくなくても内容は病室中に筒抜けだ。馴れ馴れしい飲み屋の女将と、おしゃべりな常連客。こういうシチュエーションが、治五郎は極めて苦手である。

年明け早々、またあの空間に身を置くことを思えば気が滅入る。が、そこに微かな懐かしさを感じないこともないのはワシだけだろうか?(ワシだけだろう)