「寅さん50年」への複雑な思い

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 「やっぱり土曜は寅さん!」とかいう惹句で、BSテレビ東京が何巡目かの連続放映を始めた。もう何年来、「釣りバカ日誌」と交代で繰り返している。

著作権料だけ払えば、必ず一定の視聴率を稼げるのだ。いかがなものかと思うが、これには幾つかの要因がある。①映画館で見たファンの高齢化 ②彼らの記憶力が衰え、むかし見たストーリーや登場人物を忘れているので、何度見ても新鮮

日本映画が斜陽の時代を迎えた頃、松竹のドル箱となった「男はつらいよ」が来年は50年目だというので、あの人気シリーズでもうひと稼ぎを、というアコギなプロジェクトも進んでいるらしい。

例えば昔のフイルムと、高齢だが存命中の倍賞千恵子(さくら)や前田吟(博)を組み合わせるのだという。反対はしないが、ワシはあまり見たくない。

全作を平均10回ぐらいは見ているワシだが、記念すべき第1回をBSテレ東をまた見てしまった。いま見ると実に新鮮だ。差別・セクハラに当たるシーンが横溢していて言葉が下品で、現在なら上映中止になりかねない。

このシリーズは、時代を映す鏡だったのではないかと思う。寅さんの〝恋敵〟も演じた米倉斉加年(1934~2014)=写真左=や笹野高史(1948~)=写真右=は、過去の作品中、実にいろんな場面に登場している。(ウィッキーさんによると米倉6回、笹野は11回)

笹野などは「ワンシーン役者」を自認していたそうだが、随所に「あっ、この役者はこの役でこのシーンにも出ていたのか!」という発見がある。

「あの映画は毎回、同じパターンじゃない? 私は退屈なだけよ」という女人が存在するのは理解できる。「あっそ。じゃ別れよう」と言うしかないような相手が最近は身近にいないことは、せめてもの幸いだと思う。(モンゴル人にも、寅さん映画は何度見ても飽きないという変わった女がいる、ちゅう話だわなあ)