2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

15年前に書いた記事を読み返して「縁」をかみしめる

以下は、2004年8月に読売新聞文化面に治五郎が書いた署名コラム(一部略)。旧友たちから「38歳だかで長期出張したモンゴルにハマったのは知ってるが、その後の有為転変ぶりをもう少し知りたい」という声があるから、転載する。 <モンゴルの民族楽器「馬頭…

「放浪者」が「定住者」から同窓会に誘われる

断っておくが、上の写真は治五郎ではない。(少し似ているかもしれないが) 同期入社の(元)記者仲間から同期会に誘われたと思ったら、翌々日の晩には大学の同窓生から数年ぶりに電話がかかって来た。 「T内だけど・・・覚えてる?」 「お・・・覚えてると…

「火宅の人」が「帰宅の人」から同期会に誘われる

「火宅の人」といえば普通、文壇で〝最後の無頼派〟と呼ばれた檀一雄(1912~1976)の小説や、同名の映画(1986年、緒形拳主演)を指すだろう。 火宅のイメージとしては、上の写真のようなものが正しいのではないかと思う。 【火宅】〔火事にあって燃え盛る…

とうどく【悼読】文筆家の死を▵哀悼(記念)して、その著作を読むこと

弔読(ちょうどく)とも言う。(ウソです。どちらも辞書には載っていない。それもそのはず、これらは治五郎が勝手に発明した語彙なのである) 各時代の優れた文筆家というものは、太宰治や三島由紀夫を引き合いに出すまでもなく、死ぬ瞬間まで何をしでかすか…

ある賢い小学生との対話

「ねえねえ、ご隠居さん」 「何だね」 「普通の人が国を相手に損害賠償裁判を起こすことがありますよね」 「あるけど・・・例えば?」 「騒音公害とか冤罪被害とか、例は幾らでもあるでしょう」 「うん、それで?」 「裁判で国が負けると、何億とか何千万と…

よくぞ届いた「雪渡り」

先週土曜日の午前8時半ごろ、携帯が鳴った。080ーで始まる発信元に心当たりはない。(ろくな電話じゃないな)と警戒しながら出ると、「ヤマト運輸のダレソレです」という。ダレソレだけなら応じないところだが、宅急便だという見当はついた。 「何か」「一…

「くもりガラス」論争の発端となったサスペンス映画

若者にはピンと来ないかもしれない。ヒッチコック監督の「裏窓」(1954年)=写真=である。出演はジェームズ・スチュアート、グレース・ケリーほか若干名。 主人公(雑誌カメラマン)は足の骨折で身動きできず、暇だから毎日、双眼鏡や望遠カメラで向かいの…

大川栄策「さざんかの宿」と「くもりガラス」論争

不倫の愛を、サザンカの花=写真右=に託した演歌の話から始めましょう。 〽 くもりガラスを手で拭いて あなた明日が見えますか 歌手の大川栄策をして(あの顔にもかかわらず)一躍、演歌界の大スターに駆け上がらせた「さざんかの宿」(吉岡治・作詞)の冒…

まだまだ寒いうちには入らない

日本全国が寒波に見舞われて北海道では連日、TVリポーターが濡れタオルを振り回して「あ、凍りました!」と驚いてみせている。が、それはまだ甘い。 治五郎も、実はまだ厳冬期のモンゴルへは行ったことがない(今後も行く機会はなさそうな気がする)。が、…

後輩記者の活躍を寿ぐ

©手塚治虫 おととい(9日付)の読売新聞朝刊は、元文化部記者の古老・治五郎にとって少なからず感慨深いものがあった。まず、ロングラン「時代の証言者」欄が取り上げた「森は海の恋人 畠山重篤」が、36回目をもって無事に大団円を迎えたこと。筆者の鵜飼哲…

酒と泪と雄と雌

「雌雄(しゆう)を決する」とか「雌雄を争う」とか言う。 【雌雄】㊀〔動物の〕めすと おす。「ひなのーを鑑別する/ーを決する〔=優劣を決める〕/ー〔=勝ち負け〕を争う/誰(タレ)か烏(カラス)のーを知らんや〔=互いに似ていて、その区別がなかなか分…

小林秀雄と田河水泡

次の文章の誤りを正しなさい。(高校受験レベル) <妻が愛読し始めたもんだから影響を受け、かねて「批評の神様」呼ばわりされてきた小林秀雄(1902~83)=写真=を読み直している。これが滅法、面白いんだ。> もちろん、誤りは「―呼ばわり」にある。 【…

治五郎シェフの小さな悩み

その辺の奥さんは、どう解決しているのでしょうか? そう、パセリ=左=とレモン=右=の問題です。(逃げないで、どうか一緒に考えてみて下さい) 例えば「今夜はポークソテーにしよう!」と一大決心したとしましょう(溶き卵を使ってポークピカタにしても…

「ぞっとする」のか「ぞっとしない」のか

こんな文章があったとしよう。 <先日いわゆる「あおり運転」=写真=に遭って、ぞっとした。こんな危険行為が事実上、野放しになっている。この現実は、ぞっとしない。> ヘンじゃないか? ぞっとするのか、ぞっとしないのか。どっちか一つににしてほしい!…

浅野内匠頭は心神耗弱状態だったのか?

滋賀県彦根市の交番=写真①=で昨年4月、上司の巡査部長(当時41歳)を射殺したとして殺人罪と銃刀法違反(発射、加重所持)に問われた元巡査(20)(当時19歳、懲戒免職)の裁判員裁判が終盤に差し掛かっている。 検察側と弁護側の主張を総合すると、大体…