そして祖父になる

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 「断捨離」が一種のブームになるより、ずっと前から断・捨・離を実行してきたのが治五郎だ。「生前葬」という名の宴会を池袋で催して「来年から年賀状やめます」と宣言したのが1997年。計算が合っていれば44歳の時のことだ。

2013年に定年退職した後、治五郎がどこでどうしているかを知る人は、極めて少ない。しかし人間、すべてを断ち切ることは難しいもので、居所を知る人から今でも年賀状が届くことがあるのは避けられない。

息子の妻からの賀状によって、数か月後には治五郎にも孫が生まれる予定であることが分かった。大相撲で言えば夏場所が始まるより前の話になるだろう。

そして父になる」という映画(是枝裕和監督、2013年)=写真=は、わが子が実は他人の子であることを知った2組の夫婦の葛藤を描いた問題作だが、いろいろな葛藤を経験してきた治五郎も「そして祖父になる」わけだ。う~む。