連休に飽きた? ワシゃそんなことないよ。

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初の10連休だとかいう大型ゴールデンウイークも、最終日。「また明日から仕事か」とゲンナリしている人が多いことだろうし、「連休には飽きたからホッとしている」という人も少なくないだろう。しかし、10連休ぐらいで飽きるようじゃ、甘い甘い。

治五郎なんかアンタ、6年前に60歳の誕生日を以て定年退職して以来、50連休や100連休は当たり前で、去年などは365連休の偉業を成し遂げた。〝連休の達人〟である。

同類の高齢者は増える一方だからテレビ各局も心得たもので、皇室の翼賛ニュースや人気芸人のバラエティー番組だけではなく、かつては誰もが親しんだ映画・ドラマ・ドキュメンタリー・歌番組などを流す。何度目の再放送になるやら。

 局側からすると高視聴率は稼げないが制作費は要らないし、見る側からすれば「懐かしい」だけで内容は忘却の彼方にあるのだが、つい見てしまうという原理が働く。

ワシがつい見てしまったのは、アジアの歌姫と呼ばれたテレサ・テン(1953~95)=写真=のドキュメント。生存中は別にファンでもなかったが、今の妻(モンゴル人)に触発されて見る(聴く)ようになってから、見直す(聴き直す)ようになったのだ。

80年代のヒット曲は、ほとんどが荒木とよひさ(詞)と三木たかし(曲)のコンビによる作品。「つぐない」とか「愛人」とか、子供の教育上あまりよろしくない歌詞なのではないか、と感じていたが、それは治五郎の浅見によるものだった。

〽 だから お願い そばにおいてね 今は あなたしか 愛せない

時の流れに身をまかせ」の中に出てくる「あなた」は、特定の異性ではなく職業として選ぶ「歌」の意だったという。身辺事情に悩んでいたテレサと、それを呑み込んだ上で作詞した荒木。「あ、これは名曲だわなあ」と今さらながら感心した。

テレサ・テンはワシより30日ほど前に生まれた〝お姉さん〟だが、気管支喘息だかのため42歳で亡くなった。その命日が5月8日だったというので、今ごろまた再放送となったわけだ。彼女の波乱の人生を知るにつけ、ダラダラと66まで生きてしまったワシの実感は「理不尽」に尽きるのです。