〝高齢者ドラマの金字塔〟への道

f:id:yanakaan:20191213050927j:plain f:id:yanakaan:20191213051010j:plain f:id:yanakaan:20191213051053j:plain

「あれ? この俳優、放送中の連続ドラマに昨日も出てなかったっけ?」

治五郎がボケたからではない(ボケてはいるが)。写真の左から順に八千草薫(10月24日没、88歳)、山谷初男(10月31日没、85歳)、梅宮辰夫(12月12日没、81歳)。

高齢化社会の宿命ではあろうが、80代で鬼籍に入る人の数が立て込んできて「すみません、席を少し詰めて下さい」という状態になっているような気がする。

上の3人が出演していたのは、テレビ朝日の名ドラマ「やすらぎの刻」。収録済みのシーンも多いはずで、視聴者は今後も「あれ?」と思わされる機会があるだろう。

それもそのはず、ワシの見るところでは脚本家の倉本聰(84)に最初からそれを狙っていた節がある。彼は、シナリオ人生の〝総決算〟として本作に取り組んでいるらしいので、自身がいつ死んでもいいよう、ドラマの最終話まで(一応)書き終えてから撮影に入ったという。出演した高齢俳優が(己と前後して)1年以内に死ぬという事態は想定内なのだ。「差し違えの覚悟」とでも言おうか。

あっぱれな作家魂であり、随所に遊び心(というか余裕)が感じられる。(そこまで遊んでいいのか? と心配になるシーンも少なくない)

反発する向きもあろうが、ワシは理解者のつもりだ。石坂浩二浅丘ルリ子松原智恵子・・・往年の名優たちが(滑舌が怪しくなりながら)繰り広げる演技には、おかしみと哀しさが滲んでいて「虚実、皮膜の間」を実感できるのだ。諸賢の感想やいかに。