何十年ぶりかで見た変死体

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治五郎の隠居所は荒川区の端っこにあって、歩いて1分足らずで隅田川。橋を渡れば足立区に入る。さらに何分か歩けば荒川に架かる扇大橋があって、広い河川敷がある=写真=。

早朝に散歩するような健康志向とは縁のない治五郎だが、今朝はどういう風の吹き回しか6時台だというのに初めて荒川を越えてみた(泳いだのではなく扇大橋を渡って)。5月末から働いてワシを養わなければならない役回りになっている妻のアルタン(モンゴル国籍)も一緒だ。(ちなみに、そういう事情があるのでワシはジゴロー)

向こう岸に着くと警察官が20~30人もウロウロしていて、橋の下を見ると中年らしい男が倒れている。もう生きていないことは遠目にも雰囲気で分かる。検死が始まるところで、青いビニールシートもまだ運ばれてきていないが、橋上のお巡りさん(いわゆる「所轄」の署員)がシッシッという目で見るので立ち去らざるを得ない。

ワシも元新聞記者だから、若い頃はサツ回りも経験した。変死体が発見されれば真っ先に現場に駆け付ける。死体といえば殺人の被害者か事故の犠牲者のことで、フツーに病気や老衰で死んだ人の数とは桁が違う(自慢するな)。

立ち去りはしても、ほかに行く所はないからUターンして帰路につく。今度は、橋上にいる鑑識課員が犬(もちろんプードルやチワワではなくシェパード)に履物のにおいを嗅がせている。犬が「はい、分かりました」と納得した顔で歩き出す。一瞬、ワシらの方に直進して来そうなので少し焦った。(来るな、シッシッ)

夕方まで気をつけてTVのニュースを見たが、何も報じられない。事件性が全くないとは思えないのでとても気になるが、警察に「今朝のアレはどうなりましたか?」と電話したりしたら、またシェパードが来るかもしれない。