プロ棋士の日韓文化比較論

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 かつて囲碁界で圧倒的な強さを誇った韓国出身の趙治勲さん(61)=写真左=が、トウガラシ=写真右はキムチ=とワサビの差について語ったという話を伝え聞いたことがある。(教えてくれたのは、ずっと囲碁を担当してきた先輩記者のFさん)

韓国出身の治勲さんが言うことに、韓国人は毎日トウガラシを食べているからカッとなりやすい。対して日本人は、刺身でも蕎麦でもワサビをよく使う。

「若い頃、ついカッと熱くなって大事な勝負を落とすことが多かった。それで、なるべくトウガラシではなくワサビを摂取することにしたら、重要な局面でも平常心を保てるようになった。ワサビには、精神を鎮静化させる作用があるのではないか」

治五郎は人の話をあまり真に受けない性格だが、この時は「一理あるかも」と思った。しかし最近では日本人だってキムチをよく食べるし、七味唐辛子などはどこの家でも常備している。第一、ワシ自身が担々麺やチゲ鍋は大好物(なるべく辛い方がいい)。

後日、谷中で開いていた定例飲み会に誰かが治勲さんを連れてきてくれたので、初対面ながら隣でジックリ話を聞かせてもらった。すると彼の考えは大体、Fさんに聞いた通りだった。「ワサビは確かに、人を落ち着かせるような気がします」

ふ~む。気が付けば、彼は日本酒を飲みながら刺身をワサビ醤油で食べている。ワシはといえば眞露オンザロックにカクテキだ。

かくて活発な日韓文化比較論が交わされたのであるが、どちらかと言えば彼の方が沈着冷静で、ワシはいつになく興奮気味だった(ように思えてならない)。