「4・10事件」一周年企画④

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 動坂下のウィークリーマンションの滞在期限が切れ、田端駅付近のゲストハウスにもう1泊して4月28日だかに、ようやく西尾久の新居に転がり込んだ。(思えば21世紀に入って以降、ワシは数年おきにどこかへ転がり込んでばかりいる)

弘前で梱包した11個の段ボール箱は郵送で無事に届いたが、家具どころか布団も鍋釜も食器も何もない。いくばくの貯えがあったから何とかなったものの、それがなければ露命をつなぐことなど出来ない相談だった。(しかし、我ながら今どき珍しい体験だ)

あの大愚・良寛漢詩に、こんな一節がある。

<生涯懶立身 騰騰任天真>

生涯 身を立つるに懶(ものう)く 騰騰(とうとう) 天真に任す

ワシ流に意訳すると「どうも昔から、せっせと働いて立身出世しようなどという気になったためしがない。生まれつきのグウタラな性格そのまま、好きなことだけやって、あとは自然の成り行きに任せるのが一番じゃあるまいかのう」

 この望みは叶えられつつあるわけだが、生きていくには誰かが働く必要がある。しかしワシは体も脳も衰えが極めて順調なので、もう働く気はない。妻の生活力に頼るしかないという道理になるだろう。かくて、治五郎はジゴロになったのである。

住めば都という通り、荒川区西尾久界隈もなかなか味わいのある街だ。家を出て2分も歩けば、お稲荷さんの祠=写真=があったりして、夜の風情などは申し分ない。

突然の一周年企画、これを以て最終回としましょう。ご退屈様でした。