豚汁を食いながら「重箱読み」について考えた

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豚汁=写真左は自家製ではないが、まあ大差ない=を食いながら、考えた。「これは『ぶたじる』だろうか、それとも『とんじる』だろうか」

地域と世代によって違うだろうが、治五郎は子供の頃、どちらかと言えば「ぶたじる」に馴染んで育った。今は「とんじる」が全国的に主流を占めているようだ。

とんじる【豚汁】豚肉の こまぎれを入れた みそ汁。ぶたじる。

これは、いわゆる「重箱読み」である。

【重箱読(み)】漢字二字の熟語で、上は字音語、下は狭義の和語で構成されているもの。例、重箱・団子。↔湯桶(ユトウ)読み

【湯桶読(み)】漢字二字の熟語で、上は狭義の和語、下は字音語で構成されているもの。例、湯桶・見本・切符。↔重箱読み

早い話が、音読み+訓読みが重箱読み、訓読み+音読みが湯桶読みである。

長じるに及んで、自分が「とんじる」に感じる微かな違和感の根底には、これが重箱読みである事実が存在するのではないか、と疑うようになった。では湯桶読みなら違和感がないかというと、これも同罪。どうも座りが悪いような気がするのだ。

上が音読みなら下も音読み、上が訓読みなら下も訓読みでないと平仄(ひょうそく)が合わない、と感じる保守的な言語感覚からワシは解放されないまま生きてきた。

とはいえ、例に挙がっている団子・見本・切符など、そう読むものだと認められて久しい言葉については、重箱読みだろうが湯桶読みだろうが「そんなの関係ねえ!」のである。(もう誰も知りますまいが昔、テレビで流行しました。えっ、まだ覚えてますか?)

20代前半になって、運転免許を取るまでは仕事でバイク=写真右は旧型だが、当時のはもっと古い=に乗らなければならなくなって、教習所に行ったら「原付」という驚くべき言葉に出合った。「原動機付自転車」の略で「げんつき」と読む。

7文字を2文字に省略すると、こういう無理が生じるのも無理はないが、なんだか〝下品〟な感じのする言葉だなあと思った。(以下は後日)