「時代の証言者」畠山重篤

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読売新聞のロングラン企画に「時代の証言者」というのがある。長年、いろんな分野で活躍してきた著名人(従って多くは高齢)に長時間のインタビューを行い、その人の人生を通して浮かび上がる「時代」を考えるというヘビー級の連載だ。

治五郎が担当したことがあるのは俳人金子兜太と写真家・大石芳野の二人だが、楽しかった半面、こっちが心身ともに衰え始めていたので相当、きつかった。週5回 ✖ 6週=30回前後だから、早めに準備しても連載が始まるとアップアップ状態になる。

話し手のことを十分に調べておくことはもちろんだが、記事では当人の話し方や口癖も再現しなければならないから、録音機(あ、今はボイスレコーダーというんですか)を持って何度となく自宅に通わなければならない。

2カ月前、後輩の鵜飼哲編集委員から電話があった。

「ずいぶん珍しいね。5年ぶりじゃないか」

「次の『証言者』を書くことになって、いま気仙沼で取材中です。相手は畠山さん」

畠山重篤さん=写真=と言えば、ワシが当ブログに「しげぼうは牡蛎じいさん」と題して書いたばかり。初夏の頃かと思っていたが、調べたら1月26日付のことだった。(何事も、このように時間の経つのが早くなっている)

「森は海の恋人」を合言葉に、漁民による植林という発想と実践が国内外で広く理解され、著書や受賞歴も少なくない。東日本大震災の被災者でもある。連載中の「作詞家・なかにし礼」編(昨15日で終了)に比べれば知名度が低いだろうが、人間と自然をテーマにすれば畠山さんほど「時代」を語れる人はいないかもしれない。

後輩に温かい(?)ワシとしては、鵜飼編集委員の幸運を祈る。(しかしキツイぞ)