やむにやまれぬ野次馬根性

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やむにやまれず【止むに止まれず】どうしてもそうしないではいられない(で)。「止むに止まれぬ▵事情(提言)」

やじうま【野次馬・弥次馬】当人とは無関係の事件に、興味本位から見物に繰り出したり おもしろ半分に騒ぎたてたり する▵こと(人)。「―根性」

治五郎も若い頃は野次馬根性が盛んだったので、火事があると消防車の後について信号を無視しながら現場に一番乗りするようなことが多かった。(それがブンヤ魂だ、という無茶な社内教育のせいもある。後で消防署長から厳重抗議を受けたものだ)

あれから40年以上。今では「君子、危うきに近寄らず」という姿勢が身に着いたから、台風の晩に家から出るような愚行は決して犯さない自信がある。

しかしモンゴル人妻(モンゴルの人妻ではなく、モンゴル人である妻)は、そこまで達観できないのであろう。本格的な台風19号で荒川=写真=が暴れ始めたと知って、じっとしてはいられないらしい。

「荒川まで行ったりするなよ」「大丈夫、近くの隅田川を橋の上から見るだけ」

しばらく帰ってこないので心配になって外へ出たら、マンション(賃貸です)の前で風雨が吹きすさぶ往来を陶然として眺めている。

とうぜん【陶然】気持よく酔う様子だ。〔広義では、心を引き付けられて、うっとりとする意にも用いられる〕「酒にーとして酔う / 美しさにーとする」

モンゴル人にとっては大きな台風が珍しいということもあろうが、自然の脅威を体で感じてきた先祖のDNAがよみがえるのかもしれない。「遥かなる呼び声」だ。

避難所(尾久八幡中学校)へ行こうか行くまいかという、微妙な判断を迫られた今回の台風19号。「何よりも大切なのは、あなたと大切な人の命」と連呼する〝公共放送〟を見ながら、「誰でも死ぬ時は死ぬものだ」と説き続けてきたワシも、いろ~んなことを考えさせられた。