「生れて墨ませんべい」の真実①

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つい去年のことのように思えるが3~4年は経っているらしい。治五郎が「生れて墨ませんべい」=写真=という、あまりと言えばあんまりな名前の煎餅と遭遇したのは。場所は、青森県五所川原市の「斜陽館」改め「太宰治記念館」の向かいにある土産物売り場だった。

<平成24年度 第53回全国推奨観光土産品審査会で当店の「生れて墨ませんべい」が「全国観光土産品連盟会長賞」を受賞しました。 いか墨を生地に練り込み、ほんのり甘くサクッとおいしい、いか墨せんべいの詰合せです。青森県金木村(現・五所川原市)に生まれた小説家、太宰治の生誕100周年を記念し企画した商品です。パッケージもユニークなイラストでお土産に大変喜ばれている商品です。>(南部せんべい本舗 八戸屋)

「う、うまいっ ‼ 」と驚くほどではないにしろ、黒というかドブ色の外見とは違って、かなりイケる味だが、ヒットした理由は味よりもネーミングだろう。

「生れて、すみません」というセリフの知名度は高い。が・・・

A「誰の言葉だっけ」

B「そりゃ太宰治だろう」

A「太宰の、何?」

B「・・・やっぱり『人間失格』じゃないの? いや、ひょっとしたら違うかな。違うような気もしてきた」

そこそこの文学好き同士が、飲み屋で交わす会話の〝定番〟と言えよう。酔って帰宅すれば記憶からは消えるので、AとBが半年後に会うと同レベルの話が繰り返される。

治五郎が「そこになんとか風穴を!」と気負っているわけではないので、①の続編を期待されても困る。サッカーも相撲もない今夜は、静かに寝ましょう。