お城のエレベーターと「頂門の一針」

f:id:yanakaan:20190703024406j:plain

 <安倍晋三首相は2日、大阪城の復元時にエレベーターを設置したのは「大きなミス」とした自身の発言について「遺憾だ」と述べた。自民党萩生田光一幹事長代行と党本部で会談した際に語った。萩生田氏が記者団に明らかにした。

首相は「取りようによっては、障害者や高齢者に不自由があってもしょうがないと聞こえるかのような発言をしたことは、ちょっと遺憾だ」と伝えた。同時に「バリアフリー社会に異を唱える発言ではない」とも語ったという。萩生田氏によると、首相は、エレベーターは四百数十年前にはなかったことをアピールしたかったという。(中略)首相は6月28日夜、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の夕食会で、大阪城に言及。インターネット上などで「障害者への配慮が足りない」といった批判が相次いだ。>(共同)

治五郎は安倍首相の支持者ではないが、今回は少し同情させられた。「バリアフリー社会に異を唱えた」わけではなく「障害者への配慮が足りなかった」のだ。

問題の夕食会で、彼が大阪城のエレベーターに触れた時は「ほう」と思ったが、誰も笑う人がいないどころか一部で反感を買ったのは、まことに気の毒なことであった。

内田百閒が慕った「烏城」こと岡山城を初めて訪ねた時、それが再建後はエレベーター付きと知ってゲンナリしたのを思い出す。(だって城の真ん中にエレベーターだぜ)

あのゲンナリ感は、しかし今となれば「障害者や高齢者への配慮が足りなかった」ことになるのだろう。安倍失言は頂門の一針というべきか。

【頂門の一針】頭上に針をさすように、痛いところをつく教訓。

人間の考えることだから、いずれは富士山どころかエベレストの頂上までも車椅子で行けるエレベーターが作られる時代が来るのではないだろうか。しかし、それはワタクシたちにとって本当に幸せなことなんだろうか。