キミは、この三つをどのように区別するか

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 11歳下の実妹が、ちょっと面倒な病気で入退院を繰り返しているので時々、見舞いに行く。病室に泰西名画=写真左=をプリントしたビニールファイルがあった。「おっ、カラヴァッジョだな」と言ったのは知識の浅い兄の虚栄であって、16世紀だか17世紀だかのイタリアの画家だということ以外、実はほとんど何も知らない。

カラヴァッジョという固有名詞を口にした瞬間、全く別方面の連想が働いた。「なんだっけ、イタリア料理だ。ほら、あの、生の魚や肉を薄切りにしてオリーブ油なんかをかけたやつ。しばらく食ってないなあ。カラ、カル・・・」。2~3分かかって思い出した。「そうだ、カルパッチョ=写真中=だ!」

ところが絵に目を戻すと今度は、さっきはすぐに思い出したはずの画家の名が出てこない。「カル、カラ・・・・・・ああ、カラヴァッジョだった」(ほっ)

しかし、まだ何か連想の余地がある。今度のはイタリアンじゃなくスペイン系のような気がする。冷たいスープの傑作。「え~っと、パッチョ、パッチョ・・・あっ、ガスパッチョ=写真右=か!」(ところで画家の名は何だっけ)

一つを思い出せば一つを忘れる。カラヴァッジョ・カルパッチョ・ガスパッチョが頭の中で堂々巡り。〝緩慢なモグラ叩き〟とでも言うべき状況だ。これに「カラムーチョ」(スナック菓子)が加わったりしようものなら、もはや収拾はつかない。

が、ゆっくりと着実に進行する「ボケ」という大局的見地に立てば、こんなのは序の口。めげてはならない、と己を奮い立たせる治五郎なのであった。