懐かしき大塚
「治五郎さんは夫婦円満で結構なことですね」
「ふむ、キミにはそう見えるかね。結婚なんちゅうイビツな制度に、人類の明るい未来があるとキミは本当にそう思うかね」
自慢するわけではないが、ワシは5か月に1度ぐらい(微妙な周期だ)夫婦喧嘩をして「家出」することがある。「ちょっと死んでくらあ」という感じで、どうせ1日か2日で戻ることになるのだが、携帯(ガラケー)などは置いたままプッツリと消息を絶つので、配偶者はそこそこ気を揉むらしい。
昨日またそれをやったのだが、都電で行った先は「大塚」だった(らしい)。ワシが18~19の頃は、大学を受験するのにも四通八達だった都電=写真=を使ったものだ。
四十数年ぶりに訪れたら、もちろん昔の旅館など影も形もなく、風俗関係の店やカプセルホテルの乱立が目立つ。(どこに泊ったかって? 余計なお世話です)
朝の喫茶店で時間を潰した。お爺ちゃんが二人、久しぶりに会っている。「あ~、熊本ラーメンね。あれはニンニクが多くて俺はダメだ」。どうでもいいんだけど。
トランプさんが嫌っているらしい有色人種の女性が二人、隣に座った。黙々とスマホを操っていたかと思えば、スペイン語(らしい)で何か短い会話を交わす。
若いサラリーマンが二人、仕事を抜け出して人生相談を始めたりもする。ずっと聞いていたいが、こっちもそう暇ではない。(実は暇です。と~っても暇なんですっ!)
さっき「プッツリ」と書いて思い出したが、プッツン親方・貴乃花に処断が下された。厳しいと言えば厳しいが、温情をも感じさせる内容だ。
【温情】下の者に対する、立場の上の人の情け深い心。いつくしみ。