青森県民に問う「ねぶた」と「ねぷた」の違い

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知ったかぶりのAという東京人がいるとしよう。一方に、津軽出身を名乗るB老人がいる。この二人が谷中か日暮里あたりの飲み屋で知り合ったとしよう。

A「今年もネブタの季節ですね。ネブタとネプタの違い、青森県人ならよく知ってるでしょうが、ネブタが青森、ネプタは弘前。混同する人が多くて困りますね」

B「・・・」

A「人形ネブタと扇ネプタの違いはもちろんですが、囃子の音色からして違う。青森ネブタは戦場からの『凱旋』を表現しているので明るく、弘前ネプタは戦死者が出るのを覚悟した『出陣』だから粛々として悲壮感がある」

B「・・・うー」

A「Bさん(あ、治五郎さんとおっしゃる)は、どう思ってますか?」

B「うー・・・・・ワンワンワン!」

A「おい誰か! この人を押さえてくれ」

取り押さえられ、人心地がついたところで、Bがおもむろに口を開いた。

B「ワシはのう、今を去る60年前、満5歳の夏には青森市に隣接する東津軽郡平内町の山中で、アケビヤマブドウを採集しながら生息しておった。青森市内まで出て祭りを見物したことはあるが、『ねぶた』なんちゅう言葉は聞いたことがない。『ねぷた』なら通じないこともないが、それも正しい発音ではない。では、何と発音したかって? Nempfta、と言うのじゃよ。

今でこそ『青森ねぶた祭』=写真左=、『弘前ねぷた』=写真右=と区別しているが、それは1960年代以降の話。全国から観光客が来るようになって、両者を別々にPRしようという青森と弘前の観光関係者の談合・密約があったに違いないんじゃ」

A「初めて聞きました。弘前のネプタ、いやNep・・・何でしたっけ」

B「Nempfta!」

A「それが明日から始まるようですが、治五郎さんは帰省しないんですか?」

B「いやあ、花火大会と同じで人が群がる場所は苦手でな。それに、今は『ふるさとは遠きにありて思ふもの』という心境なんじゃよ」